ヤハズエンドウ(矢筈豌豆、Vicia sativa subsp. nigra)は、マメ科ソラマメ属の越年草。ヤハズエンドウが植物学的局面では標準的に用いられる和名だが、カラスノエンドウ(烏野豌豆)という名が一般には定着している(「野豌豆」は中国での名称)。英語名:Narrow-leaved Vetch。
本州から四国・九州・沖縄の路傍や堤防などのいたるところにごく普通に生育している。秋に発芽し、春になると高さ60 - 150cmに達する。茎には巻きひげがあり、近くのものに絡みつくこともあるが大体は直立する。茎は全体に毛があり四角柱状。花期は3 - 6月でエンドウに似た小型の紅紫色の花を付ける。豆果は熟すると黒くなって晴天の日に裂け、種子を激しく弾き飛ばす。
原産地はオリエントから地中海にかけての地方であり、この地方での古代の麦作農耕の開始期にはエンドウなどと同様に栽培されて作物として利用された証拠が考古学的資料によって得られているが、その後栽培植物としての利用はほぼ断絶して今日では雑草とみなされている。そのため、若芽や若い豆果を食用にすることができるし、熟した豆も炒って食用にできる。
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